この間、「ベター・コール・ソール」を観直していました。
ずっと憧れていたんですよね、ヒロインのキム・ウェクスラー弁護士に。厳しく自分を律して、プロとしてのスキルをしっかり持っていて。彼女はオフィス兼住居で暮らして、朝5時半には起き運動して、メイクして、また一日が始まる。そんな日々を送っている。
でも、鉄人だって限界はあるんです。
パートナーに問題が起き、キムは一人で仕事を抱え込むしかなくなった。必死に踏ん張って、ある徹夜明けの朝——運転中に意識を失って、事故を起こしてしまった。
画面越しの事故シーンに、心臓がぎゅっと縮みました。そして、周りの友達の顔が浮かんだんです。みんな若くて頑張り屋さんで、徹夜なんて当たり前。「まだいける」って自分を押してばかりで——でも、いつ限界が来るか、誰にもわからない。
圧力と疲労が長く蓄積すると、私たちが直面するのは「ただの疲れ」じゃなくて、心身に影響を及ぼす燃え尽き症候群(バーンアウト)なんです。
「燃え尽き症候群」って、ただの疲れとどう違うのか
自分の疲れがもう普通のレベルを超えているかもしれない——そう感じたら、以下の質問に当てはめてみてください。
- もし転職するなら、今と同じ仕事は避けたいと思う?
- 朝起きて「仕事だ」と思うと、気分が急降下して、会社に行きたくない?
- 仕事に情熱やエネルギーを注げなくなって、入社当時とは全然違う?
- 友達に仕事の愚痴を言うことが増えた?
- 退勤後、自分のやりたいことをする気力すら残っていない?
当てはまるもの、ありましたか?もしあれば、あなたは今、燃え尽き症候群に直面しているかもしれません。
燃え尽き症候群(バーンアウト)の3つのサイン
燃え尽き症候群とは、長期的な過度のストレスによって引き起こされる、感情・精神・身体の極度の疲弊状態のこと。世界保健機関(WHO)もICD-11に燃え尽き症候群を記載しています。病気ではなく「職場現象」としての位置づけですが、決して軽いものではありません。
燃え尽き症候群には、主に3つの特徴があります。
1. 耗竭感(exhaustion)
エネルギーが不足している、あるいは完全に枯渇している感覚。いつも疲れている、頭痛や体の重さが続くなど。
2. 冷淡感(cynicism)
仕事との間に心理的な距離ができ、仕事に対してネガティブや無関心になる。仕事に麻痺している感覚、相手の痛みや要望に冷漠になって、耐心が持てないなど。
3. 成果感の低下(reduced professional efficacy)
達成感を得る力が下がり、自分の能力が足りないと感じるようになる。効率が落ちたと感じる、自分は仕事に向いていないと思うなど。
読んでいて「これ、私かも」って思った人、大丈夫です。あなただけじゃないんです。
燃え尽き症候群は、健康と生活をむしばんでいく
燃え尽き症候群は、頭痛や不眠といった身体の不調だけでなく、うつや不安といった心理的な問題も引き起こします。
しかも、仕事だけじゃないんです。家にも持ち帰ってしまう。仕事で溜まったイライラを家族にぶつけてしまったり、大切な人との関係にヒビが入ったり、いわゆる「スピルオーバー効果」(仕事のストレスが家庭やプライベートにまで悪影響を及ぼすこと)ってやつですよね。
そして、仕事に意味を見出していた人にとっては、打撃が二重になります。仕事が楽しくなくなるだけでなく、仕事の苦しみが人生の意味感の源まで遮断してしまう。仕事の意味が消えると、生活の意味も一緒に消えていく、これ、本当に辛いんです。
なぜ私たちは燃え尽き症候群に陥るのか——「6つのミスマッチ」
MaslachとLeiter(1997)は、さまざまな研究を総合して、「職場における人と環境のミスマッチ」が燃え尽き症候群の原因だと提唱しました。人と職場の間に長期的なミスマッチがあると、私たちは少しずつ削られていくんです。それは、以下の6つの領域に分かれます。
ミスマッチ①:仕事量の過負荷
「仕事量が多すぎる」というのは一番イメージしやすいですが、仕事量のミスマッチはそれだけじゃありません。仕事の内容が自分に合っていない場合も過負荷になります。
例えば、元々は記事の編集だけを担当していた人が、新しい部署でデータ分析も求められたとする。仕事量は多くなくても、関連スキルがなくて内容に不慣れなら、毎日てんてこ舞いになりますよね。
また、仕事で今の自分の状態と一致しない感情を表現し続けなければならない時も、倦怠感を感じやすい。「感情の仮面」をずっと被っているようなものですから。
ミスマッチ②:コントロール感の不足
コントロール感のミスマッチとは、仕事に必要なリソースを十分に握れていない、あるいは最も効果的な方法で仕事を進める権限がない状態のこと。責任と権力の不均衡です。「なんとしてもこの仕事をやりたい」と思っているのに、リソースが足りなくて——責任感の強い人ほど、このミスマッチに苦しむんです。
私のプロジェクト、取引先がすごく強気で。具体的な方案を実行する時、上司に確認して、上司がさらに取引先に確認。結局、私のスキルだけでなく、上司と相手のコミュ力にも結果が左右される。コントロールできないことが多すぎて、最終的な成果が彼らの満足で、私の満足じゃないこともある。
わかりますんか、そのもどかしさ。自分の仕事なのに、自分で決められないって、本当に辛いです。
ミスマッチ③:報酬の不満
報酬のミスマッチは、経済的な報酬が足りないだけじゃありません。努力が見えていない、誰にも認められていない——そういう社会的な見返りの不足も含まれます。そして、内発的な報酬の欠如も痛いんです。心から「この仕事には意味がある」と思えない時、それは持続的な打撃になります。
ミスマッチ④:人間関係の断絶
職場で他者とのポジティブな繋がりを長く失うと、燃え尽き症候群に陥りやすくなります。
仕事上のコミュニケーションが冷たかったり、人と人を隔てるような環境だったり。一番辛いのは、同僚や上司との間に長期にわたって解決されない対立がある場合です。
そういう対立は、絶えず私たちにフラストレーションや敵意といったネガティブな感情を生み出して、職場でサポートを得る可能性まで減らしてしまうんです。
ミスマッチ⑤:不公平感
公平さは、尊重と同義です。公平に扱われていないと、自分の価値が否定されたように感じる。
職場の公平さはいろんなところに表れます。給与の配分は適切か、不適切な行動は罰せられるか、評価や昇進は適正か。
それから、職場のトラブルが起きた時に、自分の声を上げられない、あるいは双方の発言力に差がある——それも不公平感を生みます。
「男女で扱いが違うんです! 会議で女性社員が提案しても、たいてい却下される。でも同じことを男性社員が言うと、上司が真剣に聞く……昇進のチャンスも男性優先。明らかに女性の方が早く入社して、評価も高いのに」
これ、理不尽って、本当に心を削るんです。
ミスマッチ⑥:価値観のズレ
会社の文化に共感できない、あるいは仕事の過程で自分の価値観に合わないこと、道徳に反することをしなければならないと感じる。例えば、売上のために嘘をつかなければならないとか、差別的な内容を広めなければならないとか。
一つのミスマッチだけでなく、複数が重なっていることも多いんです。どれか一つが特に重くのしかかっている人もいれば、いくつかが組み合わさっている人もいる。
燃え尽き症候群から自分を守る4つの選択肢
まずは自分に問いかけてみてください。「なぜ倦怠してしまったのか?」——そこを理解すれば、的確に調整できます。
複数のミスマッチがあるなら、一番改善できそうな領域から始めるのがいいですよ。全部一度に変えようとしなくていいんです。
選択肢①:コントロールできる部分に集中する
コントロールできない部分がつらいのは、私たちがそれをコントロールしようとしているからなんですね。どんなに頑張っても変えられないものに、時間も注意力も感情も奪われてしまう。
だから、コントロールできる部分にエネルギーを注ぐ。できる範囲で、それをちゃんとやる。
例えば、同僚の仕事力がすぐには上がらないなら、それはコントロールできない。でも、その人の成果に対する自分の態度はコントロールできる。相手がどれだけダメかを愚痴るのに時間を使うより、自分の担当分をしっかり仕上げる。自分の仕事内容を記録しておいて、後で責められた時にダメージを減らす。
それから、コントロール感の不足の苦しみを和らげるもう一つの方法は、責任感を少しだけ下げること。「仕事の成果が、最初に思い描いた通りにはならないかもしれない」——それも、受け入れていいんです。
選択肢②:仕事以外で失ったものを取り戻す
仕事で失った意味感を、別のところから取り戻すこともできます。
助けることに意味を感じているなら、週に少し時間を作ってボランティアをしてみる。創造することに意味を感じているなら、休みの日に絵を描いたり、物語を書いたり。
職場でのポジティブな人間関係が足りないなら、友達との繋がりを大切にする。同じ趣味の人と、楽しい小説や映画の話をするだけでも、心が少し軽くなりますよね。
選択肢③:本当の「休み方」を身につける
仕事のスケジュールを立てるように、休みのスケジュールも立てる。そうしないと、仕事の時間が休みの時間をどんどん侵食してしまいます。
理想は、仕事と休みを交互に配置すること。すごく疲れる前に回復の時間を挟むことで、疲れ果てて気分が落ち込む→さらに疲れる、という悪循環を防げます。
それから、休み方を選ぶ時、「娯楽」と「本当のリラックス」を区別してください。映画を観て興奮状態になって、終わった後に頭が重い——それはリラックスじゃないんです。
運動も同じ。強すぎる運動はエネルギーをさらに消費する。人によって適量は違います。
本当のリラックスとは、終わった後に筋肉が緩んで、心が静かになっている状態のこと。ぼーっとお風呂に浸かる人もいれば、芝生の上を散歩する人もいる。自分にとっての「それ」を見つけてくださいね。
選択肢④:離れる
もちろん、今の職場に留まって調整するだけが選択肢じゃありません。
仕事のデメリットがメリットを上回っているなら。今の悩みがなかなか変えられないなら。もっと自分に合う場所があるなら——離れることも、立派な選択です。新しいスタートを切ることも、自分を守る方法の一つです。
仕事は、私たちのためにあるんです。私たちが仕事のためにあるんじゃない!

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